思惑・資本政策アクティビスト・TOB
東京コスモス電機
コロナ禍で利益が落ち込んだ可変抵抗器メーカーが、業績の回復に加えてアクティビスト(物言う株主)の株主還元要求を受けて見直され、2020年3月の安値から株価が最高で約18倍になった。
物語を読む起点からの最高倍率
18.1倍
2025年7月
- 10倍に到達
- 2024年12月
- 起点から到達まで
- 約4年8か月
値動き
2020年3月の624円から、2025年7月に9,360円。10倍の判定に使う起点から5年以内の最高は12.3倍で、その後も上がりました。
起点から今日まで、スクロールで値動きをたどる
物語を読む- 起点(安値)
- 624円2020年3月
- 2倍
- 1,394円2021年6月・起点から約1年3か月
- 10倍
- 5,370円2024年12月・起点から約4年8か月
- 最高
- 9,360円2025年7月・18.1倍
- いま
- 996円2026年10月9日・9.9倍・最高から-45%・分割後の値
何が起きたか
起点の2020年3月は、可変抵抗器(トリマ・ポテンショメータ)や車載用の角度センサーを作る神奈川県の老舗メーカーで、コロナ禍の底だった。2021年3月期の売上は79億円、営業利益は0.5億円まで落ち込んだが、その後は5G関連機器やサーバー電源向けなどの受注が戻り、2022年3月期に売上95億円・営業利益8億円、2023年3月期に売上107億円・営業利益13億円へ回復した。現金を厚く抱え、従業員を10年で約3割減らし研究開発費も抑えてきたとされ、PBRが低いまま放置されていた。2023年からシンガポールの運用会社SAFS系のファンド(GES)が出資し、2024年5月に1株571円の配当などを求める株主提案を出した。業績の回復で株価が上がっていたところに、株主還元と経営の見直しへの期待が重なり、売上と利益が伸びきった2024年12月に10倍に届いた。
上昇を支えた柱
潤沢な手元資金を持つ低PBR企業に、アクティビストが株主還元の強化と経営の見直しを迫ったことによる再評価。
柱が折れる兆しとして見るもの
営業利益の減少(2023年3月期の13億円から2026年3月期は4.6億円へ)が続いていないか、配当方針(配当性向100%)が守られるか、TOB価格(1株8,075円)のような買収提案の前提がなくなっていないかを見る。
2倍のころに見えていたサイン
2倍到達のころ(2021年6月)は、2021年3月期の営業利益0.5億円を底に、受注が戻って翌期に売上95億円・営業利益8億円へ回復していく局面にあたる。当時の個別材料は確認できていない。
年表
- 2021年3月期は売上79億円(前期比12%減)、営業利益0.5億円(同74%減)、純損失2億円と落ち込んだ。
- 2023年3月期は売上107億円、営業利益13億円と回復。この前後からGESが出資を始めた(2023年〜)。
- GESが株主提案を公表(5月29日)。1株571円の配当、2024〜2026年度に配当性向100%またはDOE10%を維持する定款変更、取締役の株主面談対応の義務化の3件。
- 2月17日にピークを付けた(DBの値)。
- 6月10日に米Bournsが1株8,075円でのTOBを発表。6月24日の株主総会で取締役が総入れ替えとなり、アクティビストが社長に就いた。
- 8月13日、Bournsが公開買付けの前提条件が満たされないとしてTOBを実施しないと発表。
- 特別調査委員会の報告書を開示(12月4日)。旧経営陣が企業価値算定に圧力をかけた点などが指摘された。
- 2026年3月期は売上96億円(前期比8.6%減)、営業利益4.6億円(同56%減)、純利益0.3億円。
業績
| 期 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 2021年3月期コロナ禍の底。出典サイトの値 | 79億円 | 0.5億円 |
| 2023年3月期営業利益率12.6% | 107億円 | 13億円 |
| 2024年3月期純利益9.6億円、1株配当145円 | 104億円 | 13億円 |
| 2025年3月期営業利益は前期比減少 | 105億円 | 10億円 |
| 2026年3月期純利益0.3億円、期末配当40円 | 96億円 | 4.6億円 |
ピークのあと
ピーク(2025年2月17日)の後、2025年6月に米Bourns社が1株8,075円(総額約109億円)で完全子会社化するTOBを発表した。同月24日の株主総会では会社提案の取締役5名が否決され、アクティビスト提案の8名が選ばれてSAFSのCIOが社長に就いた。新経営陣は期末配当を40円(配当性向100%を指標)とし、Bournsは2025年8月13日に前提条件が満たされないとしてTOBを実施しないと発表した。2025年11〜12月には特別調査委員会の報告で、旧経営陣が企業価値を低く見せるよう算定に圧力をかけた疑いなどが示された。2026年3月期は売上96億円、営業利益4.6億円、純利益0.3億円と大幅に悪化した。
2倍に届いた時点のデータ
- 時価総額(概算)
- 19億円
- 起点から2倍まで
- 308営業日
- 起点から10倍まで
- 1152営業日
| 値動きの条件 | 基準 | この銘柄 |
|---|---|---|
| 小型 | 時価総額が83億円未満 | 当てはまる |
| 速い | 安値から2倍まで77営業日以内 | — |
| 急騰 | 直近20日の上昇率が51%超 | 当てはまる |
| 回転 | 浮動株回転(10日売買高÷浮動株数)が0.137以上 | 当てはまる |
4つの条件は、2倍に届いた銘柄のうち10倍まで行きやすかった値動きの特徴です。詳しくはこのサイトについて。
出典
- PR TIMES: 東京コスモス電機に対する株主提案について(GES、2024-05-29)
- 東洋経済: 東京コスモス電機 アクティビスト社長
- 日本M&Aセンター: Bournsによる東京コスモス電機のTOB(2025-06-10)
- EDINET DB: 東京コスモス電機 業績推移
- 株予報: 東京コスモス電機
型: 思惑・資本政策(業績より、材料・資本政策・需給で株価が動いた)。副次の型: 業績転換。 背景の確からしさ: 中(出典の質と量から判断)。調査日: 2026年10月9日。 背景は報道・決算資料などを要約したもので、原文ではありません。