構造変化テーマペロブスカイト・ヨウ素
伊勢化学工業
ヨウ素の市況高と販売増で営業利益が2020年12月期の21.8億円から2024年12月期の76.6億円へ伸び、次世代太陽電池ペロブスカイトの原料という思惑も重なって株価が最高で約35倍になった。
物語を読む起点からの最高倍率
35.3倍
2026年2月
- 10倍に到達
- 2024年5月
- 起点から到達まで
- 約4年1か月
値動き
2020年3月の2,597円から、2026年2月に7,860円(途中で株式分割あり)。10倍の判定に使う起点から5年以内の最高は17.3倍で、その後も上がりました。
起点から今日まで、スクロールで値動きをたどる
物語を読む- 起点(安値)
- 2,597円2020年3月
- 2倍
- 5,220円2022年10月・起点から約2年6か月
- 10倍
- 23,900円2024年5月・起点から約4年1か月
- 最高
- 7,860円2026年2月・35.3倍・分割後の値
- いま
- 3,760円2026年10月9日・17.0倍・最高から-52%・分割後の値
何が起きたか
起点の2020年3月は、AGC子会社でヨウ素と天然ガスを生産する国内首位の小型化学メーカーで、2020年12月期は売上169億円・営業利益21.8億円だった。ヨウ素の国際市況が高止まりして販売数量も増え、2021年12月期に営業利益27.2億円、2024年12月期には売上333億円(前期比26.0%増)・営業利益76.6億円(同44.6%増)まで伸びた。株価の評価が大きく変わったのは2024年で、分割調整後の株価は年初の849円から6月14日の4,050円まで約4.8倍になった。この時期に、ヨウ素を主原料とする薄くて曲がるペロブスカイト太陽電池を国が普及させる方針が繰り返し報じられ、ヨウ素需要が増えるとの思惑が買いを集めた。つまり、実際の増益に、国策テーマへの期待が上乗せされた形だ。
上昇を支えた柱
ヨウ素の国際市況の高止まりと販売数量の増加で営業利益が3年余りで3倍以上になったことに、ペロブスカイト太陽電池向けのヨウ素需要拡大という期待が重なったこと。
柱が折れる兆しとして見るもの
ヨウ素の国際価格が下落に転じないか、ペロブスカイト太陽電池の量産計画(積水化学工業の堺市工場など)が遅れないか、四半期決算の営業利益率と販売数量で確認する。
2倍のころに見えていたサイン
2022年10月ごろの2倍到達時点で確認できた個別材料は見つけられていない。全体として2020年12月期から2021年12月期にかけて営業利益が21.8億円から27.2億円に増えており、ヨウ素事業の増益基調が続いていたことは決算短信から読み取れる。
年表
- 新型コロナによる相場急落で起点の安値を付けた(3月24日)。2020年12月期は売上169億円・営業利益21.8億円だった。
- 株価が起点の2倍に到達した(10月11日)。
- 分割調整後の株価は年初に849円だった。この年にペロブスカイト電池関連の報道が相次ぎ、上昇が加速した。
- 株価が起点の10倍に到達した(5月21日)。
- 6月14日に年初来高値の4,050円(分割調整後)を付けた。ピークは起点の約17.3倍。
- 2024年12月期の営業利益予想を68億円から77億円に上方修正(12月20日)。26日には積水化学の大型投資報道で株価が上昇した。
- 1株を10株とする株式分割を実施した。
- 米Select Water Solutionsとの契約で、油田かん水からのヨウ素抽出権を取得したと報じられ、株価がストップ高になった(6月26日)。
業績
| 期 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 2020年12月期 | 169億円 | 21.8億円 |
| 2021年12月期 | 182.8億円 | 27.2億円 |
| 2023年12月期2024年12月期の前期比(+26.0%、+44.6%)から逆算した概算 | 264億円 | 53億円 |
| 2024年12月期営業利益は前期比44.6%増 | 332.9億円 | 76.6億円 |
| 2025年12月期売上は前期比17.9%増の報道値。営業利益は出典間で数字が食い違い未確定(約95億円とみられる) | 392.6億円 | — |
ピークのあと
ピーク(2024年6月14日)の後も業績は伸び、2024年12月期は営業利益76.6億円で予想の68億円から上方修正された(2024年12月20日)。2024年12月26日には積水化学工業のペロブスカイト電池への約3,100億円規模の投資報道で株価が7%超上昇した。2025年10月に1株を10株とする株式分割を実施した。2025年12月期は売上約393億円(前期比17.9%増)と増収だが、2026年12月期は減収減益の予想で、2026年上半期は営業利益が前年同期比14.2%減となった。2026年6月26日には米国での油田かん水からのヨウ素抽出権の取得が開示され、株価がストップ高になったと報じられた。2026年10月9日時点の株価は3,755円。
2倍に届いた時点のデータ
- 時価総額(概算)
- 252億円
- 起点から2倍まで
- 622営業日
- 起点から10倍まで
- 1016営業日
| 値動きの条件 | 基準 | この銘柄 |
|---|---|---|
| 小型 | 時価総額が83億円未満 | — |
| 速い | 安値から2倍まで77営業日以内 | — |
| 急騰 | 直近20日の上昇率が51%超 | — |
| 回転 | 浮動株回転(10日売買高÷浮動株数)が0.137以上 | 当てはまる |
4つの条件は、2倍に届いた銘柄のうち10倍まで行きやすかった値動きの特徴です。詳しくはこのサイトについて。
出典
- 日本経済新聞: 伊勢化学工業の株価上昇 「曲がる太陽電池」で思惑(2024-12-26)
- 日本経済新聞: 伊勢化学工業、株価一時7%高 ヨウ素好調で1〜3月純利益56%増
- JPX: 伊勢化学工業 2024年12月期 業績予想の修正・決算短信
- JPX: 伊勢化学工業 2021年12月期 決算短信(2020年12月期との比較)
- 日本経済新聞: 伊勢化学工業 過去10年間の株価推移
- 財経新聞: 伊勢化学工業がストップ高 米ヨウ素権益とペロブスカイト国策が追い風
- 株予報Pro: 伊勢化学工業(4107)
型: 構造変化テーマ(需要の構造が変わり、それを受けた会社の利益が大きく伸びた)。副次の型: 市況循環、思惑・資本政策。 背景の確からしさ: 中(出典の質と量から判断)。調査日: 2026年10月9日。 背景は報道・決算資料などを要約したもので、原文ではありません。